この本を読んで、なんだかできる薬剤師になった気がする!
実際にすごい薬剤師になったかはわかりません、、、
ただ
患者さんのカルテを見られない調剤薬局の薬剤師って
究極すごい仕事じゃないか!と思える本です
- もっと患者に的確な服薬指導をしたい
- 勉強の仕方、調べ方がわからない
- 処方の背景を深く知りたい
- 総合病院の門前薬局勤務
- 実際にあった処方をベースにしている
- 著者が疑問に思ったことなど問題形式にしてある
- 解答解説を通じて病態に関して本質的に学べる
- 著者の思考過程を学ぶことができ、疑問点の解決方法を学べる
- ベストな患者対応を、会話形式で記載されているので具体的に学べる
- 最後に医師からみる処方の捉え方を学べる
著者:宇高伸宜氏・岸田直樹氏について
宇高伸宜氏
調剤薬局勤務の薬剤師
神経内科の病院に6年間勤務後、調剤薬局に転職し、
そこで受けた処方箋の薬や疾患についてまとめ、社内DI(医薬品情報)情報紙に掲載開始
その情報紙を基に本書を構成したのです
社内の教育担当しても活躍しています
岸田直樹氏
総合診療医・感染症医/感染症コンサルタント
北海道科学大学薬学部 客員教授(臨床推論)
一般社団法人 Sapporo Medical Academy 代表理事
北海道大学医学院社会医学博士課程(数理モデル)
本書筆者プロフィールより
プロフィールからもわかるように、薬学教育にも携わっています
岸田氏は、薬剤師が患者ともっと臨床的な関わりを持つことを期待しています
薬剤師が調剤士と化してきた背景
1日の受付枚数が全て!くらいの空気が漂っている調剤薬局ですが
以下引用文、痛いところをつかれている感じがします
国が作り上げたこのようなシステムで、医療者が、機械以上の能力で、しかも人として関わるのは“無理である”と言い切ってしまってもいいのかもしれない。そこに調剤士としての仕事はあれど、薬剤師としての仕事はないのかもしれない。(中略)変化を求められているいまでも、多くの調剤メイン薬局は処方箋をにぎりしめ、そこから脱却できずにもがいている。
本書より
処方解析から処方推論へ
処方解析だけなら、コンピュータでもできる
そこに人はいらない
処方推論したうえで
患者ごとに的確な指導をし、患者とコミュニケーションを取ることで
薬剤師の存在意義が見出せるのではないでしょうか
本書の構成と読み方
本書の構成
本書では30個の症例を基に作られており
20個の症例を以下の5つのステップで読むことができます
- 処方箋と患者情報
- 解説
- この症例にはこんな対応を
- 医師が教える処方のとらえ方
- One More Lecture
残り10個の症例では、ポイントだけを抑えて解説してあります
本書全ての症例で、処方箋を受けて感じる「なぜ?」を解決するための
- 何がわからないのか
- 何を調べるべきか
- 何を知っておくべきか
- 今後どのような点に注目して患者さんと関わるべきか
についてを順を追っての解説を読むことができます
本書の読み方
30個の症例には難易度を★の5段階評価されています
読み進めるうちに難易度が上がっていくわけではないので
難易度の低いものから読んでいくでも良し(冒頭目次に一覧あり)
読みたい診療科からでも良いし(冒頭のインデックスページに診療科一覧あり)
気になったタイトルからでも良し(冒頭のインデックスページにタイトル一覧あり)
内容が濃いので一気に全て読まなくてもいいと思います
処方推論するための2つのポイント
処方箋のなぜを突き詰めて考える
処方箋を受けて、わからないこと疑問に思ったことを突き詰めて考えなければ、処方推論はできません
- わからないことをはっきりさせる
- どこがわからないのか
- 何を調べてたらわかるのか
- 今後活かせることは何か
など、とことん考え抜くことが処方を的確に推察することに繋がるのです
病態と治療方針を理解する
処方箋の疑問を突き詰めて考えるにあたり
必然的に病態についても調べることとなります
そしてさらに重要なことが
患者さんが現在いる疾患のステージや、病院で受けた(又はこれから受けるであろう)検査や治療は何か
を理解しておく必要があります
患者さんに病態や治療方針を含めた情報提供を続けることで、患者さんとのコミュニケーションをより深く取れるようになるのです
さいごに
若手薬剤師の筆者からすると、本書の症例は経験したことのあるのもはほとんどなく
単純に難しい、初見でこの対応はできないと感じました
同じような症例を経験する可能性が高いのは、総合病院の門前薬局であると思われます
限られた診療科しか経験がなく、総合病院の門前薬局での勤務が決まった薬剤師にも学習導入本としてお薦めです
また、全ての薬剤師にお薦めできる理由としては、
難しい症例でも、疑問点を突き詰めていく解説の中で
絶対に知っておくべき知識や、著者の思考過程を知ることができることです
著者の思考過程がわかり、筆者自身に足りなかった思考法に気づくことができました
若手薬剤師の筆者がおすすめする本書の活用法
- 最初の目次を見て、気になった症例をじっくり読む
- 処方箋で疑問に思った薬を、冒頭のインデックスページで登場する薬剤や、最後の索引から検索して資料として使う
- 軽く全体に目を通しておき、詳細を知りたいときの引き出しにする
本書は全ての薬を網羅しているわけではないですが、
目次など冒頭と、最後に、薬剤名・病名・診療科などでそれぞれから該当ページに行けるように作られています
何か調べる際に該当する薬などがあれば、何かしら関連した有益な知識を身につけられると思います
本書を読んだだけでは難しくて理解しきれない部分もあったので、そこは深読みせずに、必要になった時にまたじっくり読むために、こういうも話があったということだけを記憶しておくようにしました
本書は、症例の内容やそこから得られる知識だけではなく、
処方箋からいかに知識を広げていくかを学べる本です
以上、参考になれば幸いです!
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